Management 3.0の中核概念:クリエイティブワークとは?

みなさんは「クリエイティブワーカー(creative worker)」という言葉をご存じでしょうか?
日々のちょっとしたことに創造性は潜んでいます。
今回はその創造性に着目して、創造性を備えた仕事(クリエイティブワーク)、そして、その仕事をしている人達「クリエイティブワーカー」について、考えていきます。

以下、ブログ執筆はNuWorksのArnabです。


Management 3.0を理解する上で重要なことの1つに「クリエイティブワーカー」が挙げられます。
一言で言うと「Management 3.0は、クリエイティブワーカーと彼らの仕事環境をマネジメントする。」ということです。

では、この「クリエイティブワーカー」とは、どのような人のことを指すのでしょうか?
Management 3.0の大事な部分であるにもかかわらず、それはよく誤解されることがあります。

今回は「クリエイティブワーク」とそれを取り巻く環境について述べ、
次のブログでさらに「クリエイティブワーカー」について詳しくお伝えしたいと思います。

クリエイティブワークとは?

私たちは、画家、ミュージシャン、映画監督など、クリエイティブワーク(創造的な仕事)は、芸術的な分野やその業界で働く人のみの仕事だと思い込んできました。
出来上がった作品は比較的多くの人の目に触れるもの(絵画やテレビ番組)のため、おそらくこれらの仕事に関わっている「創造性」は、
他の伝統的な組織の仕事と比較しても、かなり大きいのではないでしょうか。

これは驚くべきことではありません。
これまでManagement1.0または2.0で行われている組織において、仕事はヒエラルキーの中でトップからボトムへと流れていました。
内部システムおよびその他の制約は、このフローを効率的かつノイズフリーになるよう設計されています。
その結果、どのような小さな創造性も、これらの仕事から強制的にそぎ落とされていました。

Management 3.0は、クリエイティブワークは至る所にあると定義しています。
個人がネットワーク内で協力して新しい価値を生み出す(創造する)ためにクリエイティブワークは必要です。それはますます広がりをみせています。

クリエイティブな仕事はコラボレーションを必要とする

ではここで、ある製品のマーケティング戦略を考えるために会社内の別の部署と協力しなければならないと想像してください。

これは、みなさんにも経験があることではないでしょうか。
新しい価値を創造するためにチーム内での協働を伴います。
これはまさにクリエイティブワークで、あなたの周りに存在するかもしれません。

製造業では、特に生産ラインの近くでの仕事を「クリエイティブワークをほとんど必要としない」と表現されることがよくあります。

しかし、大規模な工場のフロアに行ったことのある人は誰もが 、“その仕事は非常に挑戦的で、多くの好奇心を必要とする” ことに気づきます。
たいてい、その仕事をしている人々は楽しんでいると言われています。

製造業の環境において最も一般的な課題は、生産ラインを最高レベルの効率で稼働させることです。
そのためには、プロセスの各段階で、全チームのメンバーの間でこなすためのマインドセットが必要です。

現場で学んだ教訓などをフィードバックするために定期的なふりかえりも行う必要があります。言うまでもなく、これは非常に創造的な作業です。

つまり、仕事が創造的か否かは業界や組織とはほとんど関係がなく、環境によると言えます。
目の前にある課題に取り組むことが許されているかどうかが大事なのです。

働き方を改善するために彼らに自律性が与えられれば、創造性がもたらされます。そうでなければ、それは停滞してしまうのです。

クリエイティブワークは、ヒエラルキーの中ではなくネットワーク上で成功する

ヒエラルキーとは対照的に、「ネットワーク」の考え方がここではとても重要です。

実質的な仕事の目標の1つ「新しい価値を創り出す」ためには、他の人と協力しなければなりません。つまり、コラボレーションです。

これは、ネットワークの関係においてのみ行うことができます。

先に述べた2つの仮想シナリオでは、組織全体にとって重要な新しい価値を創造する必要があります。

これは伝統的な境界(境目)が交差する場合にのみ達成できます。
例えば、製品開発と販売の境界、またはマシンオペレーターとカスタマーケアスペシャリストとの境界、といったイメージです。

いずれにしても、(ネットワークのように)相互作用する必要がある「ノード」は、異なる「分岐」(階層のように)に分類される可能性があります。
伝統的に誰しもがこの方法で、少なくとも自発的にではなく、相互作用する方法を教えられています。

いくつかの伝統的な日本の企業では、何名かの選ばれた人たちは、異なった部署で業務や職務を経験するジョブローテーションを経て、実質的な架け橋として機能するよう“人材育成”が行われています。
彼らは部署を越えて仕事をするプロジェクトにおいて、人と人、また仕事と仕事をつなぐ潤滑油のような役割を果たします。

しかし、今日の急速なデジタル化の世界では、適切な架け橋の人となる人たちが共同作業を開始するのを待つことができません。
その間にも、私たちは、より迅速で、より俊敏な競争相手に対して貴重な機会を失うだけでなく、
継続的かつ直接的な協力関係から得られる洞察も失ってしまいます。

自己組織化の必要性

したがって、クリエイティブなネットワーク環境で成功するためには、誰もがその場その場で自己組織化する方法を学ばなければなりません。

私たちが行うManagement3.0のワークショップでは、参加者は自発的に自己組織化をするということが、いかに難しいかということに気づきます。

しかし、数回のピア・ラーニング(仲間から学ぶ学習)の実践や経験を経て、自己組織化されたグループ内でどのように作業を開始し、どのように作業をしていくかを学び始めます。

ワークショップ修了後、参加者のほとんどから、「自己組織化のヒントを得られた」「仕事の進め方や今後の運営に非常に参考になった」「スポーツの世界や小さな団体での活動にも即活かせる」といった嬉しいお声を多くいただいています。

次回は、「クリエイティブワーカーの実態?!」について述べていきたいと思います。