Management 3.0 Workout ワークショップ1日コース 開催レポート

Management 3.0ワークショップの中でも、1日コースで実施されるWorkoutワークショップは、実践中心で、実際のマネジメントに有効に活用できるツールの活用法を主に学んでいくものです。

Workout ワークショップ1日コースを、2018年7月26日に開催しましたので、その内容をレポートします。

多様なマネジメント上の課題に、今の時代に最適なアプローチで対応

ワークショップでは、以下のようなマネジメント上の課題に取り組むための、マネジメント手法、マネジメントツールの活用の仕方を学んでいきます。

・チームメンバーのエンゲージメントをいかに高めるか
・対話しながら権限移譲の内容をいかに決めていくか
・自然と褒めたたえ合う風土をどのようにしかけるか
・目標の設定と指標をいかに具体化するか
・効果的なフィードバックをどのように行うか
・多様な報酬の考え方をどのように取り入れるか
・自分の役割の価値をどのように明文化するか
・チームメンバーといかに効果的な対話をしていくか
・いかに内発的動機付けを行うか
・どのようにして価値観をわかりやすく伝え、浸透させるか
・いかにして挑戦する風土を作っていくか

上記のマネジメント上の課題を見てみると、今も昔も変わらないもの、以前はあまり「課題」と認識されていなかったものがあると思います。

たとえば、「自然と褒めたたえ合う風土をどのようにしかけるか」といった発想は、以前にはなかったものでしょう。

Management 3.0より以前の考え方で、チームメンバーを動機付けして鼓舞していくのは、マネージャーの役割でしたが、自律性の高い組織では、チームメンバー同士が動機付けし合うことが必要になってきます。

また、権限移譲というのは、昔からのマネジメントの課題ですが、Management 3.0では、メンバーとの対話を通して、しかも権限移譲のレベルを細かく設定して、権限移譲を考えていきます。

ゲーム的感覚を取り入れたマネジメントツール

Management 3.0の大きな特徴として、ゲーミフィケーション、ゲーム的な感覚を取り入れたツールを多用していることがあります。

たとえば、権限移譲では、Delegation Poker(権限移譲ポーカー)というものを使います。

Delegation Pokerでは、まず、権限移譲を以下の7つのレベルに分類しています。

1.伝える:基本はマネージャーが決定したことを伝える
2.説得する:マネージャーの決定を納得させようと説得する
3.相談する:メンバーに相談し、最終的にはマネージャーが決定する
4.同意する:全員で議論して決定する
5.助言する:マネージャーが助言するが、メンバーが決定する
6.尋ねる:メンバーが決定したことをマネージャーに説明させる
7.委任する:完全に決定をメンバーに委ねる

 

ある業務の決定事項について、たとえば、「新商品の価格を決める」ということに関して、どう権限移譲するのか、マネージャーと担当メンバーで、ゲームのポーカーのように、自分がこれと思ったカードをお互いに見せるのです。

もしかしたら、マネージャーは「説得する」、メンバーは「助言する」を提示するかも知れません。そこで、なぜそうしたいと思うのかを両者がシェアし、対話によって納得する権限移譲レベルを決めるのです。

※実際の、Delegation Pokerの様子

このように、何かを意思決定するタスクごとに、メンバーと、権限移譲するマネージャーで、ポーカーを使って権限移譲のレベルを決めていきます。

このツールのおもしろいところは、まず、権限移譲を「権限移譲する」、「権限移譲しない」の2択で考えるのではなく、7段階でとらえているところです。

実際にマネージャーの権限移譲をふり返ってみると、

「オマエにまかせるよ」と言いながら、実際には「説得する」であったり、任せられたメンバーも実は、「相談する」を望んでいたりと、権限移譲の微妙なふり幅は多様です。

それを可視化して、対話によってすり合わせていくということが、これまでのマネジメントスタイルにはなかった視点です。

また、対話のスタイルも、ポーカーのようにゲーム式にすることで、常に遊び心を伴って、対話がしやすい空気をつくっていきます。

まさに、このDelegation Pokerは、Management3.0の哲学をうまく表していると思います。

常にインターアクションを活発にして、対話の多いコミュニケーション環境を体感していく

Management3.0は、システム開発手法の一つである、アジャイルというものに端を発しています。

アジャイルとは、1つ1つステップを順番通りに進めて、原則的に手戻りしないウォーターフォール式開発と比較して、短いサイクルでフィードバックを繰り返しながら、柔軟性を重視するシステム開発手法ですが、速くて柔軟という特徴以外に、常に活発なコミュニケーションを取りながら自律的なチーム運営でプロジェクトを進めていくことが、大きな特徴になっています。

したがって、アジャイル開発を導入しているベンチャー企業などでは、企業文化そのものがアジャイルトと言えます。

Management3.0のさまざまなツールも、実際のアジャイルの現場で活用されてきたものをベースにしています。

ですから、ワークショップ自体が、参加者同士の活発なコミュニケーションが促進されるような内容になっており、常にいろんなフィードバックや情報共有が行われます。

※ワークショップの間常に活発なコミュニケーションが行われます。

 

 

自律型組織をマネジメントしていくためには、チーム内で活発なコミュニケーションがとれる環境を創造していくことが必要であり、メンバー同士のフィードバックが新たな改善やイノベーションに結びついていくためのしくみも必要です。

そのようなしくみを作っていくことが、マネージャーの役割です。

ワークショップの体験を通して、そのようなコミュニケーション環境を体感し、どのようにすればもっと活発で、学びの多いコミュニケーションが生まれるかを、ワークショップの場で常に考える、そんな仕掛けをしているのがこのワークショップの特徴でもあります。

また、あらゆるツールが、常にコミュニケーションの状態や課題を視覚的に表すことを意識しており、ワークショップを通じてカラフルでわかりやすいさまざまなアウトプットを作成していきます。

  

 
Management3.0の提唱者であるJurgen Appelo氏の著書、Managing for Happinessが、本ワークショップのテキストでもあります。
常にHappyな職場を創造することがManagement3.0の哲学であり、ツール、プロセス、環境すべてがそんな哲学を反映したワークショップになっています。

 

最新のManagement 3.0 ワークショップの開催予定はこちら