はじめまして、株式会社サイバーエージェントの福原(@fukuo33)です。
アドテクスタジオ というインターネット広告を扱う部門でエンジニアリングマネージャーをしています。
2017年に社内で研修を受けたことをきっかけにManagement3.0を知りました。Management3.0の「人ではなくシステムをマネジメントする」という思想に非常に共感し、如何にチームのカルチャーに合わせつつプラクティスを取り入れていくか、そして自己組織的なチームに導くことが出来るか、を考えてきました。
その中でも今回は僕の所属するチームで実践してるオンボーディングを紹介したいと思います。
■オンボーディングの進め方
オンボーディングの必要性はたくさんのサイトで紹介されているので割愛します。
僕のチームには、8名程度のソフトウェアエンジニアが在籍しています。
また、プロダクト型組織の形態をとっておりこのメンバーで1プロダクトを作り上げていきます。
新しくチームメンバーを迎え入れるときに、以下の手順でオンボーディングをしています。
- ミッション/ビジョンの共有
- ウェルカムランチ
- パーソナルマップ
- ムービングモチベーター
- コンピテンシーマトリクス
一つずつ見ていきましょう。
1. ミッションの共有
目的 | やること | 参加する人 |
共通善のすり合わせ | エレベーターピッチの説明 | 説明する人: マネージャー 聞く人: 新メンバー |
まずはじめにマネージャーから、会社、部門、プロダクトのミッションを説明します。採用面接の段階で「このミッションに共感できるか?」はかなり丁寧にヒアリングしているので改めての説明になります。
具体的には、チーム立ち上げ時に作ったインセプションデッキのうち「我々はなぜここにいるのか?」「エレベーターピッチ」を説明し、新メンバーとチームが目指すべき方向をすり合わせます。
2. ウェルカムランチ
目的 | やること | 参加する人 |
アイスブレイク | 美味しいご飯を食べる | チームメンバー全員 |
会社の福利厚生を利用し、美味しいご飯をみんなで食べます^^;
自己紹介という点では効率は良くないのですが、この後のプラクティスに対するアイスブレイクを狙っています。
3. パーソナルマップ
目的 | やること | 参加する人 |
お互いの人となりを知る(自己開示) | パーソナルマップを相互レビュー | チームメンバー全員 |
ここからManagement 3.0のプラクティスを利用していきます。
僕のチームではドキュメント管理に Scrapbox を利用しています。各メンバーは個人のページを持っていてパーソナルマップを記述してあります。
初回は、チームメンバー全員で弊社秘伝(?)のぐるぐるシート形式のレビューをしました。新メンバーがジョインするタイミングでも、同じように各メンバーのパーソナルマップのレビュー、自身のパーソナルマップの説明をし、相互理解を進めます。
実施してみての所感としては、効率的に新メンバーのことが知れると思います。また、マネージャーの立場からすると、新メンバーがプライベートのどの範囲までを他のメンバーにオープンしているのかを知る機会にもなります。既存メンバー内でやってみても新しい発見があったで、新メンバーが入るタイミングで既存メンバーのパーソナルマップを更新しても良いかもしれませんね。
4. ムービングモチベーター
目的 | やること | 参加する人 |
お互いのモチベーションを知る | ムービングモチベーターカードを相互レビュー | チームメンバー全員 |
パーソナルマップのレビューに続けて実施することが多いです。こちらも各メンバーのScrapboxの個人ページに記載し、相互レビューをします。
実施してみて所感としては、自分と価値観が違うメンバーがいることに気付けることが大事だと思います。マネージャーの立場からすると、メンバーの目標設定を考えるときに振り返り、モチベーションとプロダクトの目標が合うポイントを探すのに利用しています。
5. コンピテンシーマトリクス
目的 | やること | 参加する人 |
メンバー相互の期待値の調整 | コンピテンシーマトリクスを相互レビュー | チームメンバー全員 |
これもムービングモチベーターに続けて実施します。これは Google Sheets にチームとして必要な能力、個人が持ってる能力を主観で記載します。項目は網羅的である必要はなく、思いつくままに記載しています。
コンピテンシーマトリクスの良いところは、新メンバーがどのようなスキルを持っていて、チームにどんな影響を及ぼすのか可視化できることだと思います。これにより、既存のチームメンバーが新メンバーに何を期待するのか、何をサポートする必要があるのか、の相互理解に繋がります。新メンバーはどの分野でリーダーシップを発揮すればよいのかを認識する機会になります。また、マネージャーの立場からすると、空いているスキルに関しては、新たにメンバーを採用するのか、既存メンバーがどのような成長目標を持つのか、のようなチームビルドについて考えることができます。
まとめ
新メンバーが自立的にチームで力を発揮するためには、メンバー同士の相互理解、価値観の共有、期待値を理解した上での役割の認識、など沢山のことが必要だと思います。今まではそのようなコミュニケーションを朝会やランチ、飲み会などに頼りがちだったのですが、今回紹介した Management 3.0 のプラクティスは、コミュニケーションを齟齬なく効率的に行うのに最適でした。相互理解を進めるうえで非常におすすめです!
では、また!